ゼンマイワークスの日常。

時計の修理やカスタム作業に関する日々の様子です。
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防水検査。


ぐはっ。
ブログを書きかけのまま再起動してしまい、書いていた物が綺麗サッパリ消えました・・・。

今日は新規のお客様の接客中に思い付いた事を書きますね。
(いや、消える前に相当書いたのですが・・・。)

季節柄と言う事で『防水検査』です。

非防水時計(最初から防水機能がない)は勿論ですが、防水時計でも、経年変化などによる防水性能の低下は起こりますので、十分な注意が必要なのです。
これからの季節は水に触れ合ったり、汗をかく事も増えますね。
海やプールやシャワーへの注意だけでは無く、もっと身近な事でも容易に時計を傷める事に気を付けましょう。
実際にレジャーでの『水入り』よりも、『汗入り』での修理の方が遙かに多いです。
勿論、塩分の多い海水には注意ですが、も金属を簡単に腐食させますから。
しかも、日常使用では気が付きにくい身近な脅威だと言う事も盲点です。
クラウン(リューズ)『ネジ込み式』の時計は、必ずネジ込む事を忘れない様にして下さいね。
そして、防水機能がある時計でも、パッキンの劣化は避けられませんし、ステンレス製のケースであれば錆も発生します。
ですので、年に一度くらいは『防水検査』をする事をお勧め致します。
(とは言え、恒久的な防水性を保証する訳では無く、その時点での防水性が確認できるだけですが。)

防水検査には幾つかの種類がありますが、一般的なのは『空気圧』で検査する方法です。



『水圧』を利用するタイプの方が、より大きな圧力が得られますが、300m防水以上の時計などの防水検査以外では使いません。
いずれにしても、『空気圧』タイプの防水試験機は必須となりますが。
他にも、防水の不良箇所を特定するための検査器もあります。

百貨店の店頭や、対面で修理(電池交換を含む)を行う所では、防水検査はお預かりとなったり、メーカーに出す場合も多いです。
防水試験機が高価だったり、圧縮空気を作るコンプレッサーの設置場所(作動音が大きい)の問題もありますが、何よりも破損させるリスクが伴うからでしょう。
そのリスクの具体的な一例です。



床に落としたり、時計に物を落とした訳ではありませんし、単にガラスが割れているだけでもありません。
これは時計内部からの損傷なのです。
不思議に思いますよね?

私達の生活している大気圧は通常は『1気圧』です。
例えば『10気圧』の防水検査であれば、この大気圧の10倍の圧力をかけるのですが、静的に圧力をかける程度では、時計はこれほどまでに破壊されません。
空気圧で検査する場合には、時計の内部が1気圧で密閉された状態に、外部から高い圧力をかけて行きます。
防水性が保たれていれば、高い圧力によって圧迫された時に、時計内部の圧力が負けて外装(ケース)が僅かながら変形し潰されながらも耐え続けます。
つまり、潰れたままの状態をキープできれば防水検査は合格と判断できます。
反対に防水性が損なわれていれば、高い圧力で空気が時計内部に侵入し、内部と外部で圧力が均等となる為に、ケースは変形もしませんし潰れもしません。
又は、一旦は潰れても徐々に元の状態に膨らみます。
この状態では、空気の侵入を許してしまったと判断されて、防水検査は不合格となります。

上記の写真の時計の場合には、途中まで頑張って耐えてしまったケースですね。
高い圧力に耐えていたのですが、何らかの要因で耐え切れなくなった瞬間に、時計内部に高圧力の空気が一気に流れ込み、その結果で内部から爆発した様な状態となりました。
ガラスは勿論ですが、ダイアル(文字盤)は膨らみ、針は飛び散り、機械部分も損傷しました。
運が良ければ、ガラスが飛んで外れる程度で済む場合もありますが。

こうしたリスクを伴いますので、店頭などで気軽に行う検査では無いのでしょう。

それと、時計の防水性に見合った圧力だけでは無くて、極弱い圧力でも検査します。
例えば、10気圧防水の時計が、10気圧の検査にパスしただけでは不十分なのです。
10気圧をパスしても、0.5気圧などの低い検査に通らない事があります。

『10気圧のテストにはパスしたのだから、低い気圧は無視しても良いのでは?』

そう考えられる方もいらっしゃると思いますが、その状態では防水不良と判断する事になります。
高い圧力をかければ、内部のパッキンも十分に押し付けられますので防水が効く場合があります。
反対に弱い圧力だとパッキンが十分に圧迫されずに、不合格となる場合ですね。
この状態ですと、弱い水圧の場合(汗・洗顔時の飛沫・雨など)には防水性能が発揮できない恐れがありますので、正確には防水不良と捉えます。

一言で防水検査と言っても奥が深いですよね。
実は冷暖房が整っている現代では、年間を通して防水性に関しては注意が必要なのですが(汗)

時計修理メンテナンスムーブメント(機械)防水性のチェックなどの御用命がございましたらゼンマイワークス

03−6262−3889

まで、お気軽にご連絡下さいませ(^_^)
 
| ZENMAIWORKS | comments(2) | -
初めまして、栃木の時計屋です。長年気になってた事が、貴社のホームページで解決しそうです。SEIKO簡易型防水試験器S-480の事です。20年程前に購入しましたが、検査終了間際に
ガラスが割れたり、外れたり、こわくて仕事になりませんでした。セイコーサービスセンターに問い合わせても、そんな事例はないと返答されるし、重い器具をなんとか送って、調べてもらいましたが、異常無で戻ってきました。本日もしつこく問い合せましたが、全く相手にされません。なんとかネットで、事例参照して、自分なりの回答をSEIKOタイムラボ(9/1社名変更)
にぶつけないと気が収まりません。貴社のホームページを見てもらおうと思っております。よろしくお願いいたします。
この器具を使用して、ガラスが割れたり、外れたり、どういう時になるのか取説に明記しないと当店の様に長年悩んでる時計屋も多いと思います。結局、早めに水中から時計を取り出す事でしょうか・・・御指導の程、宜しく 69歳の年寄より
| 中田 雅己 | 2019/09/04 11:02 PM |

初めまして。
こちらの防水試験機は使った事がありませんのでコメントのしようがございませんが、無事に解決されると良いですね!
| ゼンマイワークス | 2019/09/05 12:19 AM |










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